ベーム DG交響曲全集 2

ベーム DG交響曲全集 1 のつづき

★ベートーヴェン:交響曲全集
Disc1 交響曲第1番 ハ長調 作品21/交響曲第6番 ヘ長調 作品68《田園》
Disc2 交響曲第2番 ニ長調 作品36 / 交響曲第4番 変ロ長調 作品60
Disc3 交響曲第3番変 ホ長調 作品55《英雄》/ 交響曲第8番 ヘ長調 作品93
Disc4 交響曲第5番 ハ短調 作品67《運命》/ 交響曲第7番 イ長調 作品92
Disc5 交響曲第9番 ニ短調 作品125《合唱》

ギネス・ジョーンズ(ソプラノ)
タチアーナ・トロヤノス(アルト)
ジェス・トーマス(テノール)
カール・リッダーブッシュ(バス)
ウィーン国立歌劇場合唱団
合唱指揮:ノルベルト・バラッチュ
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム(指揮)
1970年4月(opp.67, 125)、1971年5月(op.68)、1972年9月(opp.21, 36, 43, 55, 60, 62, 84, 92, 93)

★ブラームス:交響曲全集
Disc6 交響曲第1番 ハ短調 作品68/ハイドンの主題による変奏曲 作品56a
Disc7 交響曲第2番 ニ長調 作品73/アルト・ラプソディ 作品53/悲劇的序曲 作品81
Disc8 交響曲第3番 ヘ長調 作品90/交響曲第4番 ホ短調 作品98

クリスタ・ルートヴィヒ(コントラルトop.53)
ウィーン楽友協会合唱団(op.53)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム(指揮)
1975年5月(opp.68, 73, 98)、1975年6月(op.90)、1976年6月(op.53)、1977年2月(op.56a, 81)

★モーツァルト:交響曲全集(全46曲)
Disc9 第1番 変ホ長調 K.16/第4番 ニ長調 K.19/第5番 変ロ長調 K.22/交響曲ヘ長調 K.76(42a)/
第6番 ヘ長調 K.43/第7番 ニ長調 K.45/ト長調 K.Anh.221(45a)《旧ランバッハ》
Disc10 ト長調《新ランバッハ》(L.モーツァルト)/変ロ長調 K.Anh.214(45b)/第8番 ニ長調 K.48/
第9番 ハ長調 K.73(75a)/第10番 ト長調 K.74/ニ長調 K.81(73l)
Disc11 第11番 ニ長調 K.84(73q)/ニ長調 K.95(73n)/ニ長調 K.97(73m)/ヘ長調 K.75/
第12番 ト長調 K.110(75b)/ハ長調 K.96(111b)
Disc12 第13番 ヘ長調 K.112/第14番 イ長調 K.114/第15番 ト長調 K.124/第16番 ハ長調 K.128/第18番 ヘ長調 K.130
Disc13 第17番 ト長調 K.129/第19番 変ホ長調 K.132/第20番 ニ長調 K.133/第21番 イ長調 K.134
Disc14 第22番 ハ長調 K.162/第23番 ニ長調 K.181(162b)/第24番 変ロ長調 K.182(173dA)/
第25番 ト短調 K.183(173dB)/第27番 ト長調 K.199(161b)
Disc15 第26番 変ホ長調 K.184(161a)/第28番 ハ長調 K.200(189k)/第29番 イ長調 K.201(186a)/第30番 ニ長調 K.202(186b)
Disc16 第31番 ニ長調 K.297(300a)《パリ》/第32番 ト長調 K.318/第33番 変ロ長調 K.319/第34番 ハ長調 K.338
Disc17 第35番 ニ長調 K.385《ハフナー》/第36番 ハ長調 K.425《リンツ》/第38番 ニ長調 K.504《プラハ》
Disc18 第39番 変ホ長調 K.543/第40番 ト短調 K.550/第41番 ハ長調 K.551《ジュピター》

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム(指揮)
1959年10月(K.385, 318, 504)、1961年12月(K.550)、1962年3月(K.551)、1966年2,3月(K.184, 297, 338, 543, 425)、1968年3,11月

★シューベルト:交響曲全集
Disc19 交響曲第1番 ニ長調 D82/交響曲第2番 変ロ長調 D125
Disc20 交響曲第3番 ニ長調 D200/交響曲第4番 ハ短調 D417《悲劇的》
Disc21 交響曲第5番 変ロ長調 D485/交響曲第6番 ハ長調 D589《小さなハ長調交響曲》
Disc22 交響曲第8番 ロ短調D759《未完成》/交響曲第9番 ハ長調 D944《ザ・グレート》

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
カール・ベーム(指揮)
1963年6月(第9番)、1966年2,3月(第5番、第8番)、1971年5月(第1番、第2番)、1971年11月(第3番、第4番、第6番)

 

前回はこのボックスのうち、モーツァルトとベートーヴェンをご紹介しましたが、今回はシューベルトとブラームスです。
ベルリン・フィルのシューベルト、ウィーン・フィルのブラームス。まず、何と言ってもオーケストラの選択が良いですね。

シューベルトの交響曲は今日では未完成と第9番グレイトばかり演奏され、他のナンバーはなじみが薄いですが、例えばここでのベームの第6番の力強い演奏を聴けば、未知の偉大な交響曲に出会ったような感動を覚えます。
未完成は第1楽章がベームにしてはかなり主観的な演奏。やや遅めのテンポで、アクセントの付け方がいつもの鋭角的な感じではなく、聴かせどころが近づくと「来るぞ、来るぞ」という感じで加速したり、クレシェンドしたりします。第2楽章は一転して早めのテンポで、しっかり楽器を鳴らしながらロマンティックな趣に流されない音楽づくりに終始しています。とはいえ、何もしなくてもこの録音におけるベルリン・フィルの木管楽器奏者の素晴らしさは、筆舌に尽くしがたいです。フルートはツェラー、クラリネットはライスター、オーボエはコッホでしょうか?ppから茫洋と立ち上がってくる憂いを含んだサウンドは、まさにベルリン・フィルハーモニーの音!
そして第9番ハ長調「ザ・グレイト」。ベームにはシュターツカペレ・ドレスデンとの豪快な演奏もありますが、テーリヒェンの力強いティンパニと弦楽セクションの合奏力の高さ、そしてここでも際立つ管楽器セクションの美しさが聴きごたえ十分で、指揮者ベームもドイツ風のアクセントを思いっきりつけて重厚な音楽をつくりあげています。4楽章の終結部、とてもいいですね~、ベルリン・フィルはこうでなくてはいけません(笑)。

シューベルト 交響曲第9(8)番ハ長調 D.944『グレート』
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 カール・ベーム(指揮) ※パブリック・ドメイン音源

続いてブラームス。
このコンビによる1975年の熱狂的な来日公演の直後、ウィーン・ムジークフェラインで全4曲が収録されました。憶測ですが、来日時の第1番の演奏があまりに凄かったので、2匹目のどじょうを狙ったようなタイミングで発売されています。

そしてこのブラームス全集は1976年のレコード・アカデミー賞を獲るのですが、一般的な評価はあまり芳しくないまま、今日に至っています。よく言われるのは、老齢によるベームのテンポの弛緩、統率力の低下。そして発売を急ぎ、短期間に詰め込んだことによる仕上げの粗さ。
しかし、そうした部分があるにせよ、ここでのウィーン・フィルのサウンドは格段に素晴らしく、ベームの堅実な音作りも全盛期からやや衰えているとはいえ、逆にそれが音に余裕を含ませ、ブラームスのにこやかな一面が垣間見えるような演奏に仕上がっています。
全集中の白眉は第2番でしょう。
冒頭のD-C♯-Dが鳴った瞬間から、ほっとします。この曲は1877年、ブラームスが南オーストリアのケルンテンを訪れた際に書かれていますが、翌1878年からイタリアを頻繁に旅行することから、南方への憧れが強くあったのでしょう、曲も春の日差しを感じさせるような明るさに満ちています(同時期に書かれているのはヴァイオリン協奏曲やヴァイオリンソナタ第1番と、同じ雰囲気が漂う曲です)。ベームは、ウィーン・フィルの弦にヴィヴラートをたっぷりとつけ、デュナーミクとルバートを駆使して、温かく繊細な雰囲気をいっぱいに表出しています。後年のバーンスタインやジュリーニ、クライバーとの共演時も感じたのですが、ウィーン・フィルのティンパニが柔らかくていい音を出しますね。フィナーレの熱狂も煽り立てる感じでなく、しっかりした足取りで締めくくられます。

第1番も前半こそカラヤンに比べて物足りないですが、フィナーレがとても感動的です。ホルンとオーボエ、クラリネット、フルートの美しさは、前述のベルリン・フィルと双璧でしょう。
第3番と第4番も古典的な造形がしっかりした演奏で、このオケがブラームスを自家薬籠中のものにしていることがよくわかります。秀演。

以上、4大作曲家の名演揃いですが、やはりドイツ・グラモフォンの録音技術はすごいですね。古い録音はたまに編集のつなぎ目が分かったりして残念なものもありますが、水準以上のステレオで、特にブラームスは黄金のホールの柔らかく輝かしい響きを捉えきっていて聴きものです。

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