フルトヴェングラー ザ・グレートEMIレコーディングス(1)

世紀の巨匠の代表的名盤を網羅したボックス

フルトヴェングラー ザ・グレートEMIレコーディングス

Disc 01
・ベートーヴェン:交響曲第1番ハ長調作品21
・ベートーヴェン:交響曲第3番変ホ長調作品55『英雄』
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1952年11月、ウィーン、ムジークフェラインザール

Disc 02
・ベートーヴェン:交響曲第2番ニ長調作品36
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1948年10月、ロンドン、ロイヤル・アルバート・ホール
・ベートーヴェン:交響曲第4番変ロ長調作品60
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1952年12月、ウィーン、ムジークフェラインザール

Disc 03
・ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調作品67『運命』
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1954年3月、ウィーン、ムジークフェラインザール
・ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調作品92
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1950年1月、ウィーン、ムジークフェラインザール

Disc 04
・ベートーヴェン:交響曲第6番ヘ長調作品68『田園』
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1952年11月、ウィーン、ムジークフェラインザール
・ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調作品93
管弦楽:ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
1948年11月、ストックホルム、コンサートホール

Disc 05
・ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調作品125『合唱付き』
エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
エリーザベト・ヘンゲン(アルト)
ハンス・ホップ(テノール)
オットー・エーデルマン(バス)
合唱:バイロイト祝祭合唱団
管弦楽:バイロイト祝祭管弦楽団
1951年7月、バイロイト祝祭劇場

Disc 06
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73『皇帝』
エトヴィン・フィッシャー(ピアノ)
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団
1951年2月、ロンドン、アビーロード第1スタジオ
・バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番
ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団
1953年9月、ロンドン、アビーロード第1スタジオ

Disc 07
・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)
管弦楽:ルツェルン祝祭管弦楽団
1947年8月28-29日、ルツェルン、クンストハウス
・メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1952年5月、ベルリン、イエス・キリスト教会

Disc 08-Disc 09
・ベートーヴェン:歌劇『フィデリオ』全曲
マルタ・メードル(ソプラノ)
ヴォルフガング・ヴィントガッセン(テノール)
ゴットロープ・フリック(バス)
オットー・エーデルマン(バス)
アルフレート・ペル(バリトン)
セーナ・ユリナッチ(ソプラノ)
ルドルフ・ショック(テノール)
アルウィン・ヘンドリックス(テノール)
フランツ・ビェルバッハ(バス)
合唱:ウィーン国立歌劇場合唱団
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1953年10月、ウィーン、ムジークフェラインザール

Disc 10
・ブラームス:ハンガリー舞曲第1番ト短調
・ブラームス:ハンガリー舞曲第3番ヘ長調
・ブラームス:ハンガリー舞曲第10番ヘ長調
1949年4月、ウィーン、ムジークフェラインザール
・ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 op.56a
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 op.68
1952年1月、ウィーン、ムジークフェラインザール
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

Disc 11
・ブラームス:交響曲第2番ニ長調作品73
1952年5月、ミュンヘン、ドイツ博物館
・ブラームス:交響曲第3番ヘ長調作品90
1949年12月、ベルリン、ティタニア・パラスト
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

Disc 12
・ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1948年10月、ベルリン、ゲマインデハウス
・ベートーヴェン:『コリオラン』序曲作品62
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1947年11月、ウィーン、ムジークフェラインザール
・ベートーヴェン:『レオノーレ』序曲第2番作品72a
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1954年4月、ベルリン高等音楽院

Disc 13
・ブラームス:ヴィオリン協奏曲ニ長調作品77
ユーディ・メニューイン(ヴィオリン)
管弦楽:ルツェルン祝祭管弦楽団
1949年8月、ルツェルン、クンストハウス
・ブラームス:ヴァイオリン、チェロのための協奏曲イ短調作品102
ヴィリー・ボスコフスキー(ヴィオリン)
エマヌエル・ブラベッツ(チェロ)
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1952年1月27日、ウィーン、ムジークフェラインザール

Disc 14
・モーツァルト:交響曲第40番ト短調K.550
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1948年12月、1949年2月、ウィーン、ムジークフェラインザール
・チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74『悲愴』
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1938年10月、ベルリン、ベートーヴェン・ザール

Disc 15
・R.シュトラウス:ドン・ファン作品20
・R.シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら作品28
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1954年3月、ウィーン、ムジークフェラインザール
・R.シュトラウス:死と変容作品24
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1950年1月、ウィーン、ムジークフェラインザール
・フルトヴェングラー:交響的協奏曲ロ短調~アダージョ
エトヴィン・フィッシャー(ピアノ)
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1939年4月、ベルリン、ベートーヴェンザール

Disc 16-Disc 19
・ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』全曲
イゾルデ:キルステン・フラグスタート
トリスタン:ルートヴィッヒ・ズートハウス
ブランゲーネ:ブランシュ・シーボム
マルケ王:ヨーゼフ・グラインドル
クルヴェナール:ディートリッヒ・フィッシャー・ディースカウ
メロート:エドガー・エヴァンス
牧童:ルドルフ・ショック
水夫:ルドルフ・ショック
舵手:ローデリック・デイヴィーズ
合唱:コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団(合唱指揮:ダグラス・ロビンソン)
管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団
録音:1952年6月、ロンドン、キングズウェイ・ホール

Disc 20
・ハイドン:交響曲第94番ト長調『驚愕』
・ケルビーニ:『アナクレオン』序曲
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1951年1月、ウィーン、ムジークフェラインザール
・シューベルト:交響曲第8番ロ短調D.759『未完成』
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1950年1月、ウィーン、ムジークフェラインザール
・リスト:前奏曲S.97
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1954年3月、ウィーン、ムジークフェラインザール

指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

Disc 21
「フルトヴェングラーの思い出」(インタビュー集)
アルド・チッコリーニ(ピアノ)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
ユーディ・メニューイン(ヴァイオリン)
ピーター・ゲルホーン(指揮者)
ベルトルト・ゴルトシュミット(指揮者)
ヒュー・ビーン(フィルハーモニア管弦楽団員)
ジョン・ミーク(フィルハーモニア管弦楽団員)
ヒュー・マクグァイア(フィルハーモニア管弦楽団員)
ハロルド・ナッシュ(フィルハーモニア管弦楽団員)
ジェルヴァーズ・ド・ペイエ(フィルハーモニア管弦楽団員)
エリーザベト・フルトヴェングラー(未亡人)
バーナード・デニス・ブラウン

これは大変すばらしいBOXです。20世紀最大の指揮者として現在も多くの信奉者を持つドイツの巨匠、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886年-1954年)がEMIに遺した膨大な録音のうち、飛び切りの名演を選りすぐったものです。

2011年の1月に、巨匠の生誕125年を祝して発売されました。このBOXの最大のセールスポイントは、ベートーヴェンとブラームスの交響曲全集が、96Hz/24Bitでデジタル・リマスタリングされたことです(同時制作されたSACDシリーズのリマスター音源から転用されています)。

少し失礼な言い方をしますと、これまでEMI(および日本での販売権を持つ東芝)はフルトヴェングラーの音源を何度もリマスター・再発売してきましたが、そのたびにひどい復刻、改悪!と酷評されていたものです。

例えば過度なノイズリダクションや、音の輪郭をはっきりさせる目的で無理なイコライジングをかけたりして、かえって音の密度がスカスカになったり、その逆でエッジが丸まって団子状になってしまうようなことが頻繁にありました。これではせっかくの最新技術を駆使したリマスターの意味がありません。

よって、フルトヴェングラーを聴くなら1980年代に発売された初期の、エンジニアがあまり音質をいじらなかったCDの音質が一番良いと、ファンの間で根強く信じられていたほどです。まあたしかに、80年代ならマスターがまだ新鮮な状態であったことも作用し、そういったことも頷ける話ではあります(平林直哉さんの「フルトヴェングラーを追って」と言う本にこの辺りの話題が実に面白く採り上げられています)。

ところが今回のBOXは、そうしたEMIにとって不名誉な評判を、全く覆してしまうような素晴らしい仕上がりになっています。リマスターはアビー・ロード・スタジオの技術者が行ったそうで、LPのふくよかさ、往年のウィーン・フィルの美しくしなやかな音響を見事に再現していると言えるでしょう。
ちなみに、ベートーヴェンの第7交響曲のマスターは、今回新たに発見された未使用アナログ・テープです。従来、他のスタジオ録音に比べて「落ちる」と言われてきた第7交響曲が、60年の時を経て漸く瑞々しい姿で復活しました。

次章からは、このBOXを作曲家ごとに分け、内容を詳しく解説して参りたいと思います。

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