ドビュッシー 歴史的初期録音集 – 01

豪華絢爛 魅惑の音響世界

ドビュッシー 歴史的初期録音集
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Disc 01
ドビュッシー:
1.版画 L.108aより「グラナダの夕べ」
1913年11月1日(再1991年)、ドビュッシーによるピアノロール
2.ピアニスト、リカルド・ビニェス、ドビュッシーについて語る
語り:リカルド・ビニェス 録音:1938年頃
3.映像 第2集 L.120より「金色の魚」
リカルド・ビニェス(ピアノ) 録音:1930年6月
4.版画 L.108aより「グラナダの夕べ」
リカルド・ビニェス(ピアノ) 録音:1929年11月7日
5.前奏曲集 第1巻 L.125より「亜麻色の髪の乙女」「ミンストレル」「沈める寺」
アルフレッド・コルトー(ピアノ) 録音:1947年10月14日
6.子供の領分 L.119a
アルフレッド・コルトー(ピアノ) 録音:1947年10月10日
7.アラベスク L.74
マルグリット・ロン(ピアノ) 録音:1930年7月10日
8.版画 L.108aより「雨の庭」
マルグリット・ロン(ピアノ) 録音:1929年11月12日
9.前奏曲集 第1巻 L.125
ヴァルター・ギーゼキング(ピアノ) 録音:1936年2月9日

Disc 02
1.ベルガマスク組曲 L.82
ヴァルター・ギーゼキング(ピアノ) 録音:1931年3月13日
2.映像 第1集、第2集
ヴァルター・ギーゼキング(ピアノ) 録音:1948年10月16日
3.前奏曲集 第1巻 L.131
マルセル・メイエ(ピアノ) 録音:1956年2月14-15日
4.喜びの島 L.109a
マルセル・メイエ(ピアノ) 録音:1957年1月14-17日

Disc 03
1.弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10, L.91
カルヴェ四重奏団 録音:1931年6月25-26日
2.チェロ・ソナタ ニ短調 L.144
モーリス・マレシャル(チェロ)、ロベール・カサドシュ(ピアノ)
録音:1930年6月3日
3.フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ L.145
マルセル・モイーズ(フルート)、リリー・ラスキーヌ(ハープ)、ウジェーヌ・ジノ(ヴィオラ)
録音:1928年2月3日
4.ヴァイオリン・ソナタ ト短調 L.148
ジャック・ティボー(ヴァイオリン)、アルフレッド・コルトー(ピアノ)
録音:1929年6月7日
5.前奏曲集 第1巻より「ミンストレル」 L.125b(ドビュッシー編)
ジャック・ティボー(ヴァイオリン)、アルフレッド・コルトー(ピアノ)
録音:1929年6月7日
6.牧神の午後への前奏曲 L.87a
カミーユ・シュヴィヤール指揮、コンセール・ラムルー管弦楽団 録音:1922年

Disc 04
1.牧神の午後への前奏曲 L.87a
マルセル・モイーズ(フルート)
ワルテル・ストララム指揮、ワルテル・ストララム・コンサート管弦楽団
録音:1930年2月24日
2.夜想曲 L.98aより「雲」
フィリップ・ゴーベール指揮、パリ音楽院管弦楽団 録音:1928年3月6日
3.夜想曲 L.98a
デジレ=エミール・アンゲルブレシュト指揮
ドビュッシー祝祭管弦楽団&合唱団 録音:1934年1月21&3月27日、1932年11月22日
4.交響詩『海』 L.111a
シャルル・ミュンシュ指揮、パリ音楽院管弦楽団 録音:1942年3月2日
5.6つの古代のエピグラフ L.139c (アンセルメ編)
エルネスト・アンセルメ指揮、スイス・ロマンド管弦楽団 録音:1953年10月

Disc 05
1.牧神の午後への前奏曲 L.87a
ガブリエル・ピエルネ指揮、コンセール・コロンヌ管弦楽団 録音:1930年2月10日
2.神聖な舞曲と世俗的な舞曲 L.113a
リリー・ラスキーヌ(ハープ) ピエロ・コッポラ指揮、管弦楽団
録音:1929年3月4日
3.版画 L.108aより「グラナダの夕べ」(コッポラ編)
ピエロ・コッポラ指揮、管弦楽団 録音:1935年3月12日
4.映像 第2集 L.120より「葉ずえを渡る鐘の音」(コッポラ編)
ピエロ・コッポラ指揮、管弦楽団 録音:1935年3月12日
5.子供の領分 L.119b(カプレ編)
ピエロ・コッポラ指揮、パリ音楽院管弦楽団 録音:1934年10月8日
6.交響詩『海』 L.111a
アルトゥール・トスカニーニ指揮、BBC交響楽団 録音:1935年7月12日
7.小組曲 L.71a(ビュッセル編)
アンリ・ビュッセル指揮、フランス国立放送管弦楽団 録音:1952年10月17日

Disc 06
1.夜想曲 L.98
ピエール・モントゥー指揮、ボストン交響楽団 録音:1955年8月15日(ステレオ)
2.管弦楽のための映像 L.118a
ピエール・モントゥー指揮、ロンドン交響楽団 録音:1963年5月18,21日(ステレオ)
3.遊戯 L.133a
ピエール・モントゥー指揮、フランス国立放送管弦楽団 録音:1955年6月9日

Disc 07
1.忘れられたアリエッタ L.63bより「我が心に涙降る」「木々の影」「グリーン」
メアリー・ガーデン(ソプラノ) クロード・ドビュッシー(ピアノ)
録音:1904年5月、Recorded for G & T, 78RPMs
2.マンドリン L.43a
メアリー・ガーデン(ソプラノ)、ギュスターヴ・クロエ(ピアノ)
録音:1928年7月4日(音源:Sony)
3.カンタータ『放蕩息子』 L.61bより「L’annee en vain chasse l’annee」
メアリー・ガーデン(ソプラノ) ギュスターヴ・クロエ(ピアノ)
録音:1930年6月27日
4.忘れられたアリエッタ L.63bより「巷に雨の降るごとく」
クレール・クロワザ(メゾ・ソプラノ) フランシス・プーランク(ピアノ)
録音:1928年6月22日
5.シャルル・ボードレールの5つの詩 L.70より「噴水」
クレール・クロワザ(メゾ・ソプラノ) ジョージ・リーヴス(ピアノ)
録音:1930年7月
6.フランソワ・ヴィヨンの3つの譚歌(ドビュッシー管弦楽伴奏編曲版) L.126b
カミーユ・モラーヌ(バリトン) ジャン・フルネ指揮、コンセール・ラムルー管弦楽団
録音:1954年10月(音源:Philips)
7.忘れられたアリエッタ L.63b(第2版)
ユグ・キュエノー(テノール) ジャクリーヌ・ブランカール(ピアノ)
録音:1951年
8.3つのビリティスの歌 L.97
9.愛し合う二人の散歩道 L.129
10.華やかな宴 第1集 L.86
マギー・テイティー(ソプラノ) アルフレッド・コルトー(ピアノ)
録音:1936年3月12-13日
11.華やかな宴 第2集 L.114
ジャーヌ・バトリ(メゾ・ソプラノ&ピアノ) 録音:1929年1月31日
12.フランソワ・ヴィヨンの3つの譚歌(ドビュッシー管弦楽伴奏編曲版) L.126b
シャルル・パンゼラ(バリトン) ピエロ・コッポラ指揮、管弦楽団
録音:1931年11月3日

Disc 08 – Disc 10
歌劇『ペレアスとメリザンド』 L.93 全曲
ジャック・ジャンセン(ペレアス)
イレーヌ・ヨアヒム(メリザンド)
アンリ=ベルトラン・エチュヴェリー(ゴロー)
ジェルメーヌ・セルネイ(ジュヌヴィエーヴ)
ポール・キャバネル(アルケル)
リーラ・ベン・セディーラ(イニョルド)、他
イヴォンヌ・グーヴェルネ合唱団
ロジェ・デゾルミエール指揮、交響楽団
録音:1941年4月24日~11月17日

歌劇『ペレアスとメリザンド』 L.93(抜粋)
マルテ・ネスプーロス(メリザンド)
ヘクトール・デュフレーヌ(ゴロー)
クレール・クロワザ(ジュヌヴィエーヴ)
アルマン・ナルソン(アルケル)
ジョルジュ・トリュック指揮、交響楽団
録音:1928年2月15日、1928年3月6日

歌劇『ペレアスとメリザンド』 L.93(抜粋)
イボンヌ・ブロティエ(メリザンド)
シャルル・パンゼラ(ペレアス)
ヴァンニ・マルクゥ(ゴロー)
ピエロ・コッポラ指揮、コンセール・パドルー管弦楽団
録音:1927年3月29-30日、1927年10月6日

 

私の勝手な感想ですが、これは近年出たあらゆるクラシック音楽のボックスセットの中でも出色の内容、一生の宝物にできる価値を持った商品だと言い切ります。

実際に聞いてみると、ほとんどが古ぼけたモノーラル録音。しかも好き嫌いが激しく分かれるドビュッシーの音楽ばかりで、かつあまり知られていない曲も大量に収録されています。表面的にはハズレの部類でしょう。

ところが、そうしたデメリットなど微塵も感じさせないほど音楽は充実していて、スピーカーから流れてくる20世紀前半の爛熟した芸術の香気には誰もが魅了されるはずです。

まず何より、ドビュッシー本人と大作曲家プーランクの弾くピアノが収録されているのがすごい。Disc 07に収められた「忘れられたアリエッタ」でピアノを弾くのはほかならぬドビュッシー。しかもピアノロールではなく、1904年に収録された正真正銘の実演記録です。

クロード・ドビュッシー
フランシス・プーランク

これだけ古い録音ですから、演奏についてどうこう評価はしませんが、教科書にも載る大作曲家の演奏を今日聴けることには感謝しかありません。どんなに探しても、ベートーヴェンやシューベルトの演奏なんて聴くことはできないのですから。

自作自演だけではありません。他にも伝説級の巨匠による名演が目白押しなのが、このボックスの魅力です。

ピアノでいえば、アルフレッド・コルトー、マルグリット・ロン、マルセル・メイエ、ヴァルター・ギーゼキング。ヴァイオリンはジャック・ティボー。その他、マルセル・モイーズ、リリー・ラスキーヌなど。まさに往年の名手たちの名前がずらりと並びます。

指揮者だって豪華。トスカニーニ、モントゥ、ミュンシュ。あと、フランスの古き良き時代を象徴するようなコッポラやアンゲルブレシュトの名前も本当に懐かしい。

さらに、ここに収録されている演奏の多くが長らく廃盤になっていたものばかりなので、元々フランス音楽のファンだった方には大変な朗報であったと思います。

マルセル・モイーズ(1889年5月17日 – 1984年11月1日)なんて、いまやほとんど聞かなくなった名前ではないでしょうか。レコード全盛期にはフルートの神様のように崇められたモイーズですが、今日ではもはや忘れられつつあります。でも、「牧神」のまさにパンの笛を想起させる蠱惑的な音色と高度なテクニックを聴くと、さすがとしか言いようがない。

さらに、名手ジノおよびラスキーヌと組んだ「フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ L.145」の不安定さたっぷりな演奏は、癌に侵され絶望の淵に合った作曲者の心の揺らぎを余すところなく表現しています。ともすれば、危ない演奏と言ってもよいでしょう。まさに「魔性の笛」です。

あと、ピアノ演奏も聴き比べが大変面白い。

例えば、ヴァルター・ギーゼキングはとても明晰かつ力強く、ダイナミックな箇所はとことん壮麗に弾いています。一方で、ドビュッシーの音符の陰影も丹念に描き出していく。

ちなみに、この音符の陰影なるものをより魔術的に、ロマンティックに弾き崩しているのがコルトーです。

彼の血の中には19世紀のロマン派の空気が濃厚に宿っていて、昨今のピアニストが絶対やらないような自由なルバートやタメを駆使します。ドビュッシーともなると、彼のセンスが作曲家と同じ言語のようにシンクロし、妖しげで繊細な音響世界が拡がるので、聴き手はハッとしたり、音のきらめきに陶酔したり、翻弄されっぱなしになります。

そしてマルセル・メイエ。知ってるようで知らない感じのこの女流ピアニストの演奏に私はすっかり魅せられました。まことにセンスの塊と申しますか、表現意欲に満ち溢れ、それに対応するテクニックを持ち合わせています。例えば「前奏曲集」第7曲「西風の見たもの」を聴いてみてください。まるでピアノによる交響詩です。

第10曲「沈める寺」はムソルグスキーの「展覧会の絵」の「キエフの大門」を聴くよう。このメイエのドビュッシーは、簡単なもので良いので、ぜひ楽曲解説を片手に聴いて頂きたい。埋もれるには惜しい、素晴らしい演奏です。

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