世界中の音楽ファンの期待を集め、実際に夢のような時間を実現したコンサート。
カルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による、新春恒例のニューイヤーコンサートは、まさにそういうイベントでありました。
私は89年当時は中学生。92年当時は高校生でしたが、まさにテレビに釘付け。
同時にカセットデッキで余念なくエアチェック(笑)。
中継が始まるや否や。すらりとした白髪のダンディなクライバーが登場。
期待通りに左手をぐるんぐるん回して、華麗に舞うような指揮姿のかっこよさ。
いや、それ以上になんと美しく生き生きとした生命感あふれる音楽なのだろう!
ともするとルーティーンで退屈な演奏もありがちなワルツやポルカから、ここまで魅力を引き出し、構造の素晴らしさを引き出した才能はただことじゃない。
89年は冒頭の「加速度ワルツ」からいいですね。この曲は父、エーリッヒ・クライバーも得意にしていました(録音もあります)。
コントラバスなど低弦部でしっかり支えながら、ボウイングはかなり旧式というか。ウエストミンスター録音にあったような、往年のウィーン・フィルみたいな音が随所に立ち現れて、とても素晴らしい!
92年の「オーストリアの村つばめ」も同様で、ノスタルジックな雰囲気が最高です。
対してポルカもクライバーらしいリズム感が最高で、他のオケとの共演でも得意とする「雷鳴と電光」なんて、あまりに速すぎて(テンポではなくフレーズのつなぎが)、さすがのウィーン・フィルをしても、ちゃんと鳴っていない部分もあったりするのですが、それでもエンターテインメント性抜群の仕上がりになっているのはさすが!
この2つのコンサートは何はともあれ、DVD等の映像で鑑賞するのが最高なのですが、ソニーからお求めやすい3枚組セットのCDが出ており、指揮姿にとらわれない、クライバーの紡ぎ出す精緻な音作りを楽しむには、むしろこちらをお勧めしておきます。
ニューイヤー・コンサート1989&1992
Disc 2(1989.1.1)
2. ポルカ 「クラップフェンの森で」 作品336
Disc 3(1992.1.1)
8. ペルシャ行進曲 作品289
9. トリッチ・トラッチ・ポルカ 作品214
10. ワルツ 「天体の音楽」 作品235
11. ポルカ 「雷鳴と電光」
12. ワルツ 「美しく青きドナウ」 作品314
13. ラデツキー行進曲 作品228